裁判所に提出する書類作成
よくある質問
- どういうとき裁判所に提出する書類が必要なの?
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司法書士との関連ですと以下のケースが考えられます。
- 相続を放棄する書類を家庭裁判所に提出する
- 遺産分割がまとまらない場合に調停の申立書を家庭裁判所に提出する
- 後見開始を申し立て書を家庭裁判所に提出する
- 相続財産管理人の選任の申立て
- 離婚調停の書類を提出
- 本人訴訟の場合の書類サポート
- 離婚について司法書士に相談できるの?
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もちろんできますが、弁護士に比べると制限があります。司法書士を使う場合かご検討下さい。
【司法書士が選択肢に入る場合】
①家などが共有名義で、離婚に伴い名義変更がある場合
→名義が共有かお分かりでない場合でも、当事務所でお調べ致しますのでご安心ください。
②離婚について当事者で協議がまとまっている場合
→離婚協議書を作成し、公証人役場で公正証書にしてもらう。
③協議がまとまらないが、当事者間で話し合いはできる場合
→司法書士のサポートを受けつつ合意に向かい話し合います。どうしても折り合いがつかなければ離婚調停の申し立てを行います。
離婚調停の手続も司法書士が行うことができます。
調停が成立せず訴訟で争う場合は、司法書士の書類作成のサポートを受けつつ本人訴訟するか、弁護士を代理人につけて争うことが考えられます。
なお、離婚の総数の約9割は協議離婚で、離婚調停は1割、裁判は更に少数です。
第1章.遺産分割調停
相続人間で、遺産分割協議の話合いがまとまらない場合に、決着をつけるためには、家庭裁判所に遺産分割の調停申立をすることになります。
相続人の配偶者が口を出してややこしくなることもあります。
調停期日が定まって、呼出状が届くと、出頭義務が生じ、正当な理由なく欠席した場合には過料が科せられることになっています。
遺産分割調停を申立てるには
申立先 | 相続人(相手方)のうちの1人の住所地の家庭裁判所 |
申立てできる人 | 相続人、包括受遺者など |
費用 | 1,200円(収入印紙)+連絡用の郵便切手 |
必要な書類 | 申立書 故人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍) 謄本、相続人全員の戸籍謄本 相続人全員の住民票又は戸籍附票 遺産に関する証明書(不動産登記事項証明書及び固定資産税評価証明書、預貯金通帳の写しまたは残高証明書、有価証券写し等) |
1.管轄
相手方の住所地にある家庭裁判所か、当事者が話し合いで決めた裁判所。
調停の相手方が複数いる場合は、そのうちの1人がいる地域の家庭裁判所に対して調停を申し立てることができます。
2.調停のために必要な資料
・申立書
・相続関係を明らかにする戸籍
・遺産目録、目録に記載されている不動産の全部事項証明書(登記簿謄本)
・固定資産評価証明書等の原本
- 提出した戸籍などは帰ってきますか?
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何もしないと返却されません。原本還付の手続きが必要です。
3.調停の成立
裁判所が間に入りますから、単に家族で話し合いを行うよりは法的な観点も入り、第三者からの指摘も受けられるため、成立しやすくなる傾向にあります。しかし、結局は話し合いですから、1人でも合意に応じなければ調停は成立しません。
実際は、多数の事件を担当している裁判官は忙しくて、通常は二名の調停委員が、申立人と相手方双方から事情を聞いて合意形成を目指していきます。
調停手続きの概要
調停申し立ての方法 | 書面又は口頭 |
申立権者 | 各相続人・包括受遺者・相続分譲受人等 |
調停機関 | 審判員+調停委員2名(原則) |
調停の遺産分割基準 | 法定相続分に制約されない |
調停調書 | 確定判決と同一の効力 |
調停不成立 | 審判手続きへ移行 |
遺産に漏れがないかという遺産の範囲の問題
例えば、被相続人がの父親と同居していた長男が、生前、父親の財産管理を事実上行っており、父親の預金を代わって引き出したりしていた場合、そのお金がどう使われたかを巡って、父親の死亡時に残っていた預金残高だけが遺産なのかということが問題となります。この点について、当事者の合意が得られない場合には、別途、訴訟を起こして決着を付けなければなりません。調停の実務を見ていると、やはり「使った者、隠したもの勝ち」の感は否めません。
4.遺産分割審判
当事者の意向が合致せず遺産分割調停が不成立に終わった場合、手続は自動的に審判に移行します。
審判では一部の相続人を有利に扱うということはありません。裁判所は、その相続人の権利も侵害することはできませんので、必ず各人の法定相続分は守るような審判を行う必要があり、結果として柔軟性に欠ける結論が出てしまいがちです。
家庭裁判所の審判は訴訟における判決と同じように、裁判官が、「被相続人の遺産をこのように分けなさい」という決定であり、命令です。当事者は、それに従わなくてはなりません。
このため、ある程度納得のできない点があっても、結局は調停までの段階で、相続人間で合意することこそがより良い相続につながります。
第2章.特別代理人の選任
1.特別代理人の選任が必要な場合
遺産分割協議又は相続放棄の手続きにおいて、親権者と親権に服する未成年者との利益が相反する場合です
- 未成年者が遺産分割協議や相続放棄をする場合、常に特別代理人の選任が必要ですか?
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むしろ、親権者が法定代理人として未成年者の代わりに手続きをするのが原則です。
ただ、親権者が代理人になってしまうと親権者と未成年者の利益が相反するときには、特別代理人を選任することになります。
2.選任手続
第3章.建物明渡
1.賃料不払いの場合
(1)流れ
①内容証明郵便(賃料の請求及び退去勧告)
・連帯保証人が要る場合、連帯保証人に連絡します
②交渉(賃料の回収、退去勧告)
③訴訟の提起(賃料の請求、明け渡し請求)
・支払い督促手続き、少額訴訟
④強制執行(賃料の請求、明け渡し請求)
(2)賃貸借契約の解除
一般的には3か月滞納が続けば信頼関係が破壊されたとして契約が解除できると解されています。
(1)裁判外の解決
①和解
和解で解決できれば依頼者の時間と費用が節約できますし、強制執行をするまでもなく、債務者の任意の履行が期待できます。
②調停
裁判所の関与の下で、当事者が互いに歩み寄り、解決を図る手続きです。和解と比較すると裁判所の関与がある点が違います。
2.無断転貸の場合
3.無断増改築・用法遵守義務違反の場合
第4章.債務整理
時効援用
債務者が支払いの停止をしてからかなりの期間が経過してから、多額の損害金を付した請求がなされることがあります。
このような場合、消滅時効を援用します。これにより、ほとんどの業者は請求をできなくなります。
- なんで時効で消滅しているのに請求してくるのですか?
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時効は債務者が援用しない限り債権は消滅しないからです。
第5章.離婚
結婚したカップルの3組に1組が離婚していることになっています。
1.離婚の6つの方法
協議離婚(民法763条)
夫婦の話し合いだけで離婚できます。離婚理由は問われません。
ただし、未成年の子どもがいる場合は、離婚後の親権者を決めておかないと離婚届けは受理されません。離婚の約90%が夫婦の話し合いによる協議離婚です。
調停離婚
夫婦のどちらかが離婚に同意しない場合、話し合っても離婚の条件(親権、財産分与など)について折り合いがつかず、協議離婚できない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てます。
なお、調停はいつでも取り下げることができます。
審判離婚
裁判離婚
協議離婚もできず、調停・審判でも離婚が成立しない場合、離婚したい側が家庭裁判所に離婚訴訟を起こします。
「調停前置主義」といって、離婚訴訟は家庭裁判所での調停を経ないと、起こすことができません(例外あり)。結審までには1~2年かかります。
認諾離婚
被告側が原告の請求を認めた場合
和解離婚
裁判の途中で合意ができた場合
- 実際、離婚の話し合いで揉めるのはどういう内容?
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一般的に、離婚の話し合いで揉めるのは、離婚するかどうかより、未成年の子どもの親権者に夫婦のどちらがなるか、また養育費や財産分与を支払うか支払わないか、が多いようです。
2.協議離婚
解決しておきたいポイント
・未成年の子どもの親権
通常は子どもを引き取った親が親権者になります。
・面会交流について
・養育費、慰謝料、財産分与、年金分割
通常、子どもを引き取って育てる親に、引き取らない親が支払います。
養育費は話し合いで決めた期限まで、毎月一定額を金融機関に振り込む形が一般的です。
家庭裁判所の調停・審判によって定められた養育費の額は、月払いのケースで子ども1人につき4万円程度が最も多くなっています。
・子どもの戸籍と姓
離婚協議書の作成
話し合いで決めた内容は、文書にしておくことが大事です。
さらに、慰謝料、養育費、財産分与、年金分割など金銭的な内容に関しては、取り決めが実行されるように公正証書にしておくべきでしょう。
- 協議で注意すべきことは?
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離婚を急ぐあまり、不利な離婚条件を承諾してはいけません。協議離婚合意書などにサインした後では新たに財産分与や慰謝料を請求することは難しくなります。
- 協議離婚書を公正証書にしていないとどうなる?
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支払いが滞ったときには家庭裁判所に申し立てをして調停を成立させたり、裁判を起こして判決を得るなどの手続きを行わなければなりません。
3.離婚調停
調停では裁判官1名と男女各1名の調停委員が「調停委員会」を構成し、第三者の立場で夫婦双方の話を聴き、解決策を探り、話し合いによる解決を目指します。
調停でまとまった内容は、確定判決と同じ効力があります。
離婚調停にした方がいい場面
・相手方が話し合いに応じないとき
⇒話し合いに応じない相手を話し合いの場に引っ張り出すには、離婚調停を申し立てるのが一番です。相手は原則として調停を拒否できません。
・財産分与、慰謝料、養育費、婚姻費用で揉めているとき
・相手からDVを受けるか、その恐れがあるとき
申立て
調停の進行
・調停はすべて平日の昼間に行われる
・1回の調停は2~3時間
・6か月から1年くらいで決着がつくのが一般的です
・調停委員からはアドバイスや調整案が出されますが、最終的な結論を出すのは、あくまでも当事者です。
・裁判のように堅苦しいものではなく、また傍聴人もいませんので気軽に利用できる制度です。
- 相手が調停に出てこない場合は?
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正当な理由なく呼び出しに応じず、裁判所の勧告にも従わずに欠席をつづけると5万円以下の科料が科せられることがあります。
- 調停が成立しなかったときは?
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財産分与や未成年の子の親権者指定、子の監護に関する処分(面会交流や養育費も含む)については、離婚の合意ができていれば、自動的に審判に移行します。
婚姻費用の分担は、離婚の合意ができていなくても審判に移行します。
家庭裁判所が、調停に代わる審判で具体的な判断を出してくれるのです。
4.離婚とお金の問題
結婚費用の請求
慰謝料の請求
財産分与
生産的財産分与
妻が専業主婦で夫の収入だけで生活し、預貯金や不動産の名義が夫であったとしても、財産を築き維持できたのは妻の協力があったからとみなされ、実質的に財産は夫婦共有のものとみなされます。離婚の際には、この共有財産をそれぞれの貢献度によって分け合います。
共働きの場合、それぞれの収入の額や家事労働の割合にもよりますが、2分の1ずつの例が多いようです。
第6章.訟代理権(簡裁訴訟代理等関係業務)
- 裁判とか弁護士だけじゃないの?
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あまり知られていないかもしれませんが、法務大臣の認定を受けた司法書士は、一定の金額(140万円以下)まで、簡易裁判所での手続について弁護士と同様に本人に代わって代理人として訴訟手続を行います。
刑事事件や家庭裁判所、地方裁判所では代理権はございません。
- 具体的には司法書士は訴訟代理人としてどんな事件を扱うの?
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弁護士の方が扱うより相手方への請求が少ない身の回りにおける裁判を代理することが多いです。100万貸したが返してもらえない、家賃を滞納している人がいて困っている、物を買ったが渡してもらえないといったケースが考えられます。
第7章.相隣関係
1.隣地の使用
改正点
土地の所有者の権利が隣地の使用請求権から使用権に改められたこと、隣地の使用目的が拡張されたこと、隣地の所有者等の損害が最小となるように使用の日時、場所及び方法を選ぶべき義務が課せられたこと、隣地の所有者等に対する通知義務が課せられたことが改正点です。
2.継続的給付を受けるための設備の設置権等
継続的給付を受けるための設備の設置権・使用権
土地の所有者が電気、ガス又は水道の供給その他これらに類する継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が有する設備を使用することができる権利です。
設備使用権の主体
設備設置権、設備使用権は継続的給付を「受ける」者のために認められるものであるから、継続的給付を行う事業者は主体となり得ません。
- 設備の設置権又は使用権を有する者が設置権又は使用権を行使するための金銭的負担はどのようなものか?
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設備設置権者は2種類の償金支払い義務を負い、設備使用者は償金支払い義務及び費用負担義務を負います。
3.竹木の切除等
- 隣地の竹木の枝が境界線を越える場合に関する民法の規定は、どのように改正されたか?
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竹木の所有者に枝を切除させることを原則としつつ、一定の場合に、越境された土地の所有者自ら枝を切ることができる等の改正が行われました。
土地の所有者自ら枝を切り取ることができる場合
ア 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき
イ 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき
ウ 急迫の事情があるとき
関連リンク
引用・参考文献
「令和版離婚ハンドブック」/主婦の友社
「有利に解決!離婚調停」/自由国民社