遺族が困らないための生前対策

  相続になると家族の人間模様が浮き彫りになり、隠すことができません。亡くなった方の意思が見えないと相続人はそれぞれ自己主張をし、相手を責め、長年の不平や不満をぶつけ合う場となることもあります。どんなに平和な家族に見えても遺産分割でモメてしまうことがあるのです。

 そうした場面になると相続人の本音のぶつかり合いばかりで、亡くなった方への感謝や尊敬の念は飛んでしまします。たとえどんなに立派な方でも、最後の締めくくりがそんな状態では、亡くなった方の評価も、残された家族の評価も半減するというものです。

 相続の価値を高めるには、元気なうちに配慮ある相続対策をしておくことが大切です。そうした用意がないと、残された家族は迷い、主張し、争うことになります。

【目次】

第1章 成年後見と認知症対策

 1.成年後見制度とは

 2.任意後見契約

 3.成年後見人の報酬

第2章 相続税の対策

 1.節税対策=納税額を減らす方法

(1)基礎控除額を大きくすること

(2)財産を減らしてできる節税

(3)評価を下げてできる節税

 2.分割対策=相続争いを回避する方法

(1)遺言書の作成

(2)遺言書を作るときのポイント

(3)遺言書の種類

 3.納税資金対策=相続税の納税資金を確保する方法

 4.相続税対策で押さえておくべき特例制度

第3章 財産管理対策

 1.エンディングノートを活用

 2.遺言執行者を指定しておく

第1章 成年後見と認知症対策

 厚生労働省の報告によると2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人は認知症を発症しているのではないかと言われています。

 しかしながら、現在のところ成年後見制度の利用者は、認知症の患者の4%程度となっております。つまり、「認知症=後見人を付ける」ということではないのです。

 高齢化社会となり、問題となるのが、不健康寿命も伸びているという事実です。認知症や寝たきりの状態になってしまうと、介護等の問題のほか、本人の意思確認ができず、契約などの法律行為ができなくなってしまうため、財産を活用することが極めて難しくなります。

認知症になってできなくなること】

  • 不動産の管理や処分ができなくなる
  • 遺産分割ができなくなる
  • 口座が凍結状態となり現金が下せなくなる
  • 節税対策ができなくなる
  • 遺言が作れなくなる
  • 生前贈与ができなくなる
  • 個別の契約を結べなくなる

1.成年後見制度とは

 成年後見制度とは、判断能力が衰えてきた人に代わって、さまざまな法的判断をする人を家庭裁判所に選んでもらう制度のことです。

成年後見人の主な業務

身上保護財産管理
医療や介護に関する契約
契約後の履行の管理
施設への入居契約等
財産目録を家庭裁判所に提出
収入や支出について記録、管理
納税がある場合は手続き等

2.任意後見契約

 成年後見制度は、家庭裁判所が成年後見人を選ぶのに対して、任意後見契約は、判断能力が衰える前に自ら将来の後見人を決めておくことができます。

 契約を結んだからと言って、委任者は元気なうちは受任者に任意後見を行う効力はありません。あくまで認知症などになった時の保険であるとお考え下さい。

3.成年後見人の報酬

 成年後見制度を利用し、専門家が選任されると、成年後見人に対して報酬を支払う義務が発生し続けることになります。日常生活を送るうえでは、成年後見人は必ずしも必要とは限りません。しかしながら、不動産を売却して介護費用に充てたりする時などは意思能力がない人にはできませんし、親族であっても勝手に代理人になることはできません。状況によって、制度を利用するか判断してください。

⇒つまり、財産総額によって異なりますが、長年にわたって、年間40~60万円程度の報酬費用がかかることもあります。後見制度は、専門家後見人の報酬が高額であるなど、運用面において様々な課題が出ており、見直しが検討されております。

 しかし、専門家がなることのメリットももちろんあります。

成年後見人に専門家がなるメリット

①書類申請を代行してもらえます

 成年後見人は家庭裁判所に定期的に財産状況を報告しなければなりません。

②公平中立な立場の第三者が後見人になることで、将来的に遺産分割協議の争い回避に

 親族が管理していると、使い込みなどを疑われることもあります。

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第2章 相続税の対策

【相続税対策のための4つの方法】

1.節税対策=納税額を減らす方法

2.分割対策=相続争いを回避する方法

3.納税資金対策=相続税の納税資金を確保する方法

4.相続税対策で押さえておくべき特例制度

1.節税対策

 相続税を減らすためには「基礎控除額を大きくすること」「財産を減らすこと」、「評価を下げること」が対策となります。 

(1)基礎控除額を大きくすること

 相続人の数を増やす方法として、相続人でない長男の嫁や孫と養子縁組をするやり方があります。

 しかし、基礎控除額を算出する際に法定相続人に含めることのできる養子の数は、相続人の中に実子がいる場合は一人、実子がいない場合は二人までという人数制限がなされています。

 相続税対策で大切なのは、とにかく正味の遺産額を少なくすることです。正味の遺産額が基礎控除額を下回った場合には、相続税の申告そのものが不要となります。土地であれば取引価格の約80%、家屋の場合は約70%が相続税がかかる金額と言われています。

 また、土地には小規模宅地等の特例があるため、もし適用を受けられる場合には、さらに土地の評価額を最大80%減らすことができ、かなりの相続税を減らすことができます。

生前にできる節税対策「財産を減らす+評価を下げる」

財産(1)財産を減らしてできる節税(2)評価を下げてできる節税
現金・贈与
①普通 110万円
②教育資金 1500万円
③住宅取得 500~1000万円
④配偶者控除 2000万円
⑤結婚・子育て資金 1000万円
・寄付
・不動産を購入
・建物資金に利用
株式・贈与同族会社株であれば計画的に評価が下がる状況を作る
生命保険・保険加入非課税枠1人500万円
不動産・贈与
・売却⇒現金で不動産を購入
・寄付
・土地活用、資産組替
・分筆
・地籍規模大地
その他対策法人設立養子縁組(基礎控除1人or2人)

(2)財産を減らしてできる節税

暦年課税制度

 贈与税の基礎控除は年間110万円ありますので、計画的に取り組むことができます。これは「贈与する人」が年間110万円までは基礎控除を受けることができなくなるのではなく、「贈与される人」が年間110万円まで無税で贈与を受けることができるものです。つまり、1人の贈与者が5人の受贈者に110万円を贈与すれば、その贈与者は1年で550万円の財産を無税で減らすことができます。

名義預金に注意

 名義預金というのは、口座自体の名義は受贈者の名義ですが、通帳やカードに管理は贈与者など他の人が行っている状態の口座のことです。名義預金は申告漏れ財産の典型的パターンなので注意が必要です。財産の単なる移し替えとみなされてしまうのです。

 相続税は、名義さえ変えれば逃れられるほど単純なものではありません。名義預金は相続時に問題になるケースが多いので、安易に行わないようにしましょう。

連年贈与に注意

贈与の額が毎回同じ額だったり、毎年同じ日に振込まれていたりする時に要注意です。贈与を受けた最初の年に「贈与を受ける権利」を一括して贈与されたとみなされてしまうことがあります。

 余計に税を払わないためにも、面倒でも毎年毎年、贈与する側とされる側のあいだで契約書などの書面で贈与を約束し、お金のやり取りは銀行振り込みで行うなど事実を証明できるようにしておきましょう。

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暦年贈与のポイントは規則性のある贈与をしないこと!
①毎年同じ日に贈与
②毎年同じ金額を贈与する
③毎年同じ形式の契約書を使いまわすなどは×

 また、相続時精算課税制度とは併用できないので、よくよく考えましょう。

 なお、相続が起こった際は、相続開始前3年内に行われた贈与について、相続税の計算上その贈与が無かったものとし、相続財産に足し戻される(暦年贈与加算)ので注意が必要です。高齢の方は、相続人ではない孫に贈与するのがよいのかもしれません。

亡くなる3年以内の贈与であっても、以下の特例の非課税枠内は、課税価格に含まれません

・居住用住居の贈与時配偶者控

・直系存続から住宅取得等資金の贈与

・祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与

・直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与

教育資金贈与

 2023年3月31日まで、直系尊属(父母や祖父母)から、30歳未満の子や孫が教育資金の一括贈与を受けた場合、最大1,500万円まで非課税とする制度。

 この1500万円の使い道である教育資金は、学校や留学関係の学費だけでなく、スポーツや音楽などの習い事にも使うことができます。

③自宅の購入資金の贈与はおすすめ

 令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得または増改築等(以下「新築等」といいます。)の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、贈与を受けた者ごとに省エネ等住宅の場合には1,000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までの住宅取得等資金の贈与が非課税となります。ただし、特例措置のため、年度によって非課税枠が異なります。

 さらに、この特例は「相続開始前3年以内の贈与は相続財産に持ち戻す」という規定の対象外となります(相続税の計算上、加算されないということです)。

 なお、義理の父母(配偶者の親)からの贈与では適用されません。必ず、自分の親からの贈与です。

 ただ、非課税枠といっても税務申告あってです。贈与の翌年3月15日までに申告を忘れずに行ってください。

配偶者控除

 婚姻期間が20年以上続いた夫婦のあいだで、居住用の不動産や住宅取得資金の生前贈与をする場合は2000万円まで贈与税がかかりません。しかしながら、何も考えずに飛びついてはいけません。実は損をしてしまうケースが大半です。

【不動産評価額2000万円の自宅を夫から妻へ名義を変える場合】

土地1500万円+建物500万円=計2000万円

贈与時相続時
贈与税0円0円
不動産取得税37.5万円
(土地1.5%、家屋3%)
0円
登録免許税40万円(2.0%)8万円(0.4%)
司法書士報酬6~8万円8~10万円
税理士報酬8~10万0円
合計91.5~95.5万円16~18万円
⇒生前贈与の方が相続時よりも不動産移転に多額の税金がかかる。

 上図のように不動産の名義変更を行うと、必ずしもこの特例を使うことが得策でないことがわかります。この制度の場合、贈与した方がよいのか、相続時に渡した方がよいかは遺産総額によって異なります。法定相続分で1億を超す場合は、相続税の税率が上がるため、生前に贈与をしていた方が節税になる可能性が高いです。

⇒この制度は新たな居住用住宅購入のための資金を贈与する場合の方が節税効果があります。状況によって判断しましょう。

結婚・子育て資金

 2023年3月31日まで、祖父母等(直系尊属である贈与者)が子や孫等(受贈者)に対して、結婚・子育て資金の支払に充てるために金銭等を贈与し、当該受贈者の名義で取扱金融機関に預入した場合には、受贈者1人につき、最大1,000万円までの金額に相当する部分の価額について、贈与税が非課税となる制度。

 事実上、結婚費用の上限を意識して贈与し、それを1000万円までの上限に拡大し、子育て資金として贈与するようなケースも多いようです。

 

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度は、贈与時にかかる贈与税を将来相続時に、相続税と通算して生産する制度です。

 贈与税の支払を抑えたいなら、「相続時精算課税制度」の利用を検討するのも1つの手です。

 これは、60歳以上の親や祖父母が、20歳以上の子か孫に贈与するときに利用できる制度です。同一の「贈与する人」と「もらう人」のあいだで、「暦年課税制度」か「相続時精算課税制度」、どちらか一方を選びます。

実際にこの制度を用いるケースは、受贈者である子が、贈与者である親に対して使用するケースがほとんどです。これにより税の清算が、親が亡くなったあとに先延ばしにされることになります。

相続時精算課税制度と従来の贈与税との比較

相続時精算課税制度暦年課税制度
贈与税額の計算(課税価額ー2500万円)×20%
※課税価額は贈与者ごとの合計額
(課税価額ー110万円)×累進課税
※課税価額はその年に贈与を受けた金額の合計額
贈与者の条件60歳以上
(住宅取得等資金の贈与は条件なし)
なし
受贈者の条件20歳以上の子や孫なし
贈与者の納付贈与税申告時に納付し、相続時に精算贈与税申告時に納付し、完了
相続税計算との関係贈与時の課税価額が相続財産に加算される相続財産から切り離される
(相続開始前3年以内の贈与は加算)
贈与税額の控除控除できる原則、控除できない
(相続開始3年以内の贈与税は一定の割合で相続税から控除できる)
相続税を減少させる効果なし。ただし、時価上昇の影響を受けない効果はあるあり
その他一度選択したら、暦年課税制度は適用できないいつでも相続時精算課税制度に移行できる

ⓑ相続時精算課税制度のデメリット

・暦年贈与が使えなくなる

・小規模宅地等の特例が受けられない

・いったん適用されると撤回できない

 一見お得な制度に見えますが、注意が必要です。実は、2500万円の非課税枠は一時的。贈与した人が亡くなったときには、相続時精算課税制度でもらった贈与財産は、贈与時の価額で相続財産に組み込まれ、相続税の課税対象となります。最終的に贈与税として支払うので、残念ながら節税対策としては期待できません。

 遺産総額からして将来相続税はかからなそうだが、今すぐ贈与をしたいという理由がある人は贈与税分を節税できるので、ぜひ制度をうまく活かしてください。

ⓒ相続時精算課税制度が有効なケース

 ・財産が多くななく、もともと相続税がかからないケース

 ⇒相続まで待つことなく資産を有効活用していくことが可能です。

 ・収益を生み続ける資産を贈与者が手放したいケース

 ⇒一括で収益物件を子や孫に贈与します。すると、贈与した時点から、その収益は贈与された子や孫のものになるので、贈与者としては相続の財産を増やさなくてすむようになるのです。

 ・贈与者が将来値上がりする可能性の高い資産を持っているケース

 ⇒いまはまだ価値が低い土地を相続時精算課税制度を活用して贈与すれば、相続が発生したとき、その土地を贈与した時点での価格で相続税の計算を行います。

(3)評価を下げてできる節税

 現金(預金)の価値は一定で変わりません。価値が変わらないのは安心ですが、節税を考えると、現金(預金)をそのまま持ち続ければ、価値が変わらないだけに、相続税は節税できません。

 ここで知っておきたいことは、現金と不動産の評価の仕方の違いです。前述のとおり、現金は金額がそのまま価値となります。しかし、不動産は評価の仕方が違うのです。

①賃貸物件の建設や購入

・自己使用の土地よりも、賃貸物件がある土地は、相続税の計算上土地の評価が低くなる

・賃貸物件を建てると、建物は固定資産税評価額から3割ほど安くなるので、現金で財産を持つより節税対策になる

4.相続税対策で押さえておくべき特例制度

(1)配偶者の税額軽減措置

 多くの特例制度は相続財産として評価する段階で、あらかじめ一定の割合で減額する方法をとりますが、税額控除はそうした特例制度とは性質が異なります。相続財産に一定の税率をかけて相続税の額を算出し、その相続税の額から、一定の額を減額するのです。

【注意点】

 同一世代の夫婦間で資産を移転することになるので、その同じ資産を次世代に相続しなくてはいけなくなるまでの期間が、短くなってしまうことです。いわゆる二次相続です。一次相続でめい一杯の1億6000万円の税額軽減を受けることができても、二次相続で子どもたちに多額の相続税がかかってしまうこともあります。

(2)小規模宅地等の特例

 せっかく被相続人が苦労して取得した不動産や、先祖代々の土地を、相続税納付のために手放さなければならないのは酷であるということから認められているのが、小規模宅地等の特例の制度です。

 すなわち、330㎡までの土地が、被相続人の居住の用に供されていた土地であり、それを一定の要件を満たすものが取得した場合には、その土地の評価額の80%が減額されるというものです。評価額1億円の土地が2000万円の遺産評価額になるという制度です。

 この小規模宅地等の特例の制度は、居住用宅地だけでなく、事業用宅地や貸付事業用宅地についても認められています。

 なお、この小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、原則として、相続税の申告期間内に相続税の申告をすることが必要となります。

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2.分割対策(遺産相続の争いを回避するためにできること)

 遺産分割協議が申告に間に合わないと、多くの税金を支払うことになります。

(1)遺言書の作成

 遺産の分配をめぐる争いを未然に防止するために遺言書を作成します。

 遺産の分配をめぐる争いは、遺産の多寡や相続人の数とは関係なく起こります。

 特に、家族の仲が悪かったり、兄弟間の所得格差が激しかったり、家族関係が複雑だったりする場合は感情的なもつれも加わり、もめごとが発生しやすくなります。

 争いの芽を摘んでおく意味でも、ある程度の年齢になったら遺言書を残しておきたいものです。遺言書は、財産の分配の方法、子どもの認知、生命保険の受取人の指定など、さまざまな法的な効力をもっています。

 最近では、ご自身が亡くなった後のこともきちんとしておきたいと遺言書を遺す方が非常に増えています。元気なうちに、法律に沿った遺言書を書くことを検討しましょう。

(2)遺言書を作るときのポイント

・こっそり作らない

・遺産分割は公平にするのが無難

・公平な遺産分割にならないときは理由を明記する

・財産のことだけでなく、勘彌の気持ちも残す

(3)遺言書の種類

自筆証書遺言

 ⓐ自筆証書遺言の問題点

 今までの自筆証書遺言は、偽造や紛失の恐れがありました。これが2020年7月から、自筆証書遺言を法務局で保管するという新たな制度が創設されました。

 ⓑ自筆証書遺言保管制度

 この新設された制度では、法務局が遺言書の形式を審査したうえで遺言を保管してくれます。この制度を利用すれば、家庭裁判所による検認も不要となります。様式不備、偽造・破棄のリスクといった自筆証書遺言のデメリットを、この保管制度で補うことができるのです。

 また、自筆証書遺言保管制度を活用すれば、生前に指定しておくことで、「死亡時の通知」がされます。遺言書の存在を知らぬまま相続手続きが進められてしまうことを避けられます。

 ②公正証書遺言

【公正証書遺言のメリット】

 ・専門家が作成するのでミスなし

 ・破られても原本が公証役場にあり

 ・相続開始後、公証役場で原本を検索、取り寄せができる

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3.納税資金対策

自宅を売らないと相続税が払えない・・・そのようなことにならないよう準備が必要です。

(1)相続人に財産を渡すことで、相続人の財産を増やし、納税資金を確保しておく。

 ①生前贈与

 もっとも簡単に行うことができるのは非課税枠内の(年間110万円まで)暦年贈与です。

 ②生命保険金 

 生命保険には、通常財産と違うさまざまなメリットがあります。 

【生命保険活用の5つの利点】

 ⓐ死亡保険金のうち、「500万円×法定相続人」が、相続税の非課税になることです。

 ※注意点

 生命保険によっては孫など相続人以外の親族者に渡すことが可能な契約もあります。しかしその受取人には非課税枠は適用されないうえ、配偶者及び一親等の血族及び代襲相続人である直系卑属(孫など)以外は相続税が2割加算されるので、よく検討してから受取人を決めましょう。

 ⓑ受取人の財産になるため争いを回避しやすい。代償金を準備できる。 

 ※ ⓑ財産を特定の人に渡す方法としては遺言書を用意することが一般的です。遺留分対策として、遺言書と生命保険金を合わせて準備しておくと、残された相続人は安心です。

 ⓒ保険金のため遺産分割前であっても、早期にお金を受け取れます。

  渡したい相続人に相続税の納税資金を保険金で渡すことができます。仮に銀行口座が凍結されれば、支払いに窮しますが、保険金は請求後おおむね5営業日以内に振込まれます。納税資金を渡すのに有効な手段といえます。

 ⓓ同じ金額を銀行に預けるよりも利息が良い場合が多いです。

 ⓔ相続放棄をした相続人も非課税枠の人数に含むことができます。

(2)現金に換価しやすい財産を保有する

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第3章 財産管理の対策

1.エンディングノートを活用

 エンディングノートとは、自分が認知症になったり亡くなったりしたときに、遺族が困らないように必要事項を書き込む一種の連絡帳です。

 自分のことや通帳、印鑑などの保管場所といった財産関係の在り処はもちろん、死亡を知らせてほしい人の連絡先リストや、延命治療の希望の有無など、必要だと思われることはすべて記入しておきましょう。

2.遺言執行者を指定しておく

 遺産相続では、相続人同士の利害が対立します。遺言書を作成しても、そのとおりに実行されるとは限りません。

 遺言の内容を確実に実行するためには、生前に「遺言執行者」を指定しておきましょう。遺言執行者とは、遺言の内容を忠実に実行する人のこと。遺言書によって遺言執行者を指定すれば、遺言を実行する法的な権利をもつようになります。財産の処分などの、遺言にそった行動に対して、他の相続人は妨げることはできません。

遺言執行者の主な仕事】

  • 遺言執行者に就任した旨を相続関係者全員に通知
  • 財産目録を作成
  • 不動産、有価証券等の指定相続人への名義変更、預貯金の解約・払い戻しなどの手続き
  • 子(非嫡出子)の認知の手続き
  • 推定相続人の廃除等の手続き
  • 一般社団法人の設立の手続き
  • 手続が終了した旨を相続関係者全員に通知

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関連リンク

引用・参考文献

「Q&Aでマスターする相続法改正と司法書士実務」/日本加除出版株式会社

「相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本」/相続研究会

身内がなくなったあとの『手続き』と『相続』/三笠書房

「生前対策まるわかりBOOK」(社)相続遺言生前対策支援機構

「変わる相続」/SUNRISE

「ゼロからわかる相続と税金対策入門」/あさ出版

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